ピエタ [たまには読書でも]
ちょっとお疲れ気味です。
調子はまずまずなのですが、自分の意に沿わない事に巻き込まれることが多くて、そういったことに1つ1つ前向きになれないのです。心身ともに夏バテというか・・・。あ、でも食欲は普通だなぁ(爆)。
いつもはミステリーを好んで読むのだけれど、殺伐とした気分の中で、事件や殺人といった活字を目で追うのは何となくつらいので、読書からも離れ気味でした。
先日、lucksunさんのレビューを読んで、読後感の良さと、頭の中で流れる音楽が気になり手に取ったのが『ピエタ』。
普通だったらきっと手にしない本だと思いますね~。個人的に、「日本人作家がヴェネチアを舞台に物語を描く」という事に、違和感を感じてしまうと思うんです。わたしって変なところで頭が固いなと思う(笑)。
でも、読み始めたら、すごくすんなりとその世界に入り込めました。文章や主人公の発する言葉がとても丁寧で気持ちが良いのです。
物語は「ピエタ」という孤児院で暮らす女性が、とある楽譜を探す事で発見する恩師・ヴィヴァルディ先生の過去や彼女の人間関係の変化を淡々と描いていくのですが、最後には見事な着地点で物語が終わります。
舞台はヴェネチアで、ちょうど街が最盛期を超え、成熟期を迎える時代の境目を描いています。海に囲まれた街は、その時代の女性を象徴する閉塞感をうまく表しているし、さらに街の中でも切り取られたような佇まいのピエタは別の世界となっていて、主人公のいる閉じられた世界が何重にも重なっている。
大がかりな仕掛けは無いのだけど、不覚にも(?)、話の環が閉じる結末でポロリポロリと涙がこぼれました。オニの目にも涙なんて言われそうだけど(笑)。
ヴェネチアには20年近く前に1度行ったきりなのですが(ヒャーッ!いつの間に!)、ゴンドラに乗って沖から見るヴェネチアの美しさは昔も、20年前も、今も変わらずなんだろうなぁと思いを馳せながらページをめくりました。
ゴンドリエーレ(ゴンドラの船頭)が歌う優しい歌が読後の余韻に漂う良作でした。
気分転換になりました。lucksunさんに感謝です♪
獣の奏者 [たまには読書でも]
本を読むのも好きだけど、ブックレビューを見るのも好き。
なので、いつもlucksunさんや、chicoryさんのブログを楽しみ拝見してます。自分のチョイスって、意外と偏っていて、いろんな方の書評を読むことで、少し目線を変えることができるのが面白い。
日本にいるとき好きだったのは「王様のブランチ」のブックコーナー。週末ぼーっとしながら目を覚ますと、ちょうどブックコーナーが始まって、筑摩書房の松田哲夫さんというオジサンが、おススメ本を紹介してくれるのです。
残念ながら、そのコーナーは終わってしまって、「王様のブランチ」を見る理由も無くなってしまったけど・・・。
NHKの週刊ブックレビューも好きなのだけど、日本ではBSに加入してないし、海外NHK(NHKプレミアム)で最近やってないような・・・(某アイドル事務所の宣伝番組みたいなのは、止めてくれていいのになぁ・・・)。
本を読むのが遅いので、気になってる本をサクサクと読み進めることができないんだけど、出張にくると比較的時間がとれるので、 何冊かは片付きます(笑)。
今回は、その松田さんのおススメにあった「獣の奏者」の1&2巻がちょうど文庫本になっていたので持ってきました。
タイトルから分かるとおり、ファンタジーです。
基本的にミステリーを中心に本を選ぶので、ファンタジーは初開拓。
「ハリーポッター」も、「黄金の羅針盤」も、「指輪物語」も、原作にはあんまり興味がわかなかったのはファンタジー=子供向けっていう意識もあったし、物語の世界を一から想像しないといけないっていうのが、面倒だったりしていました(ものぐさ)。
じゃあ、なぜ・・・?って感じですけど、なんとなく出張前にふらりと寄った本屋さんで目が合った・・・感じ(笑)。
わざわざ持ってきたのに、実は直前までちょっと抵抗してました(笑)。なんでファンタジーに手を出したんだろう・・・なんて思ったりして。
でも、読み始めると、意外とスルスル~っと読めてしまい、金曜日の夜~土曜日夕方まで一気に読んでしまいました。
確かに主人公(エリンという女の子)の成長が軸ではあるのですが、色んな要素(ファンタジーならではの生物、飼育、成長、政治、策略、暗殺、伝説)が絡まっているのも飽きさせないし、物語の配置もウマイ。謎を最後までひっぱるのですが、それも無理が無く誘導していきます。
それ以上に、すんなり読めたのは、主人公のキャラクターが大人っぽい冷静な子供だからだと思います。なので、感情移入しやすかったのかも。
最後もさらっと終わって好感触でした。
まだ続編があるそうで、文庫本になったら手に取ってみようかと思ってます。
予想外の面白さに、ちょっと得した気分です。
- 作者: 上橋 菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/12
- メディア: 文庫
恩田陸 祭・・・? [たまには読書でも]
本屋さんの本棚から手に取る1冊はlucksunさんの書評に影響を受けていることは以前も書いたことおりですが、“恩田陸”という作家にはまったのも、やっぱりlucksunさんの記事がきっかけでした。
恩田陸といえば、本屋大賞をとって映画化された「夜のピクニック」を1冊読んだだけだったので、てっきり“青春路線”の小説家だと思い込んでいました。
が、意外にもミステリーを書いているので、イメージが一転。
amazonのリストを見れば、続々とミステリーらしき小説が出てくるのでビックリしました。
レビューの点も高く、本のタイトルもそれっぽい(?)、「黄昏の百合の骨」を手に取ると、実はシリーズの中の1冊であることが判明。ここから芋づる式にパタパタ・・・っと手に取りました。
通勤時間も短く、読書時間は週末くらいしかないので、なかなか進みませんが、それでも結構集中して読んでいます。
「黄昏の百合の骨」→「麦の海に沈む果実」→「三日月は深き紅の淵を」→「黒と茶の幻想」と一気に読みました。
このシリーズは、ちょっと独特な世界で、耽美っぽい要素も含み、なーんとなく閉鎖的な世界が舞台の小説です。テンポがよく、物語がグイグイと進むので読みやすく、とっても楽しめました。シリーズといっても、同じ主人公ではなく、スピンオフした繋がりで描かれているから、あまりしつこくない。
特に気に入ったのは、3冊目の「三日月は深き紅の淵を」という作品。
これは、「三日月は深き紅の淵を」という題名の本を中心に、4つの物語が書かれているんだけど、
一気に飲むと、ちょっと混乱するような感じ。読み終えると、“立ちくらみ”のような感覚に陥ります。
作者の“小説”に対する気持ちが見え隠れするので興味深いデス。
このシリーズの後に、数冊別の本を読んだ後、再び恩田陸にもどっています。1人の作家にこんなに固執するのは、わたしとしては珍しい現象で、自分でもちょっとびっくりしています。
次に読んだのは、amazonで評価の高かった「Q&A」という作品。文章が全て質問&答え形式になっていて、想像力を膨らませながら進んでいくのです。最後の方は薄気味悪い感じだったなぁ~。
今は常野物語シリーズへ突入中。これについては、また別の機会に書きたいと思います。
ちなみに、恩田陸祭の間に読んだ本は、小西真奈美にそっくりの同僚Tさんが絶賛しながら貸してくれた浅田次郎の「プリズンホテル」1~4。 彼女が携えてきた本がこれと分かった、思いっきり笑ってしまいました。あんな可憐なのに、なんつー野蛮(?)な本を読んでるんだか・・・(笑)。
【ご参考まで】
麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
作者: 恩田 陸
出版社/メーカー: 講談社
発売日: 2004/01
メディア: 文庫
黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)
作者: 恩田 陸
出版社/メーカー: 講談社
発売日: 2006/04/14
メディア: 文庫
乗り過ごす危険性アリ?!:『交渉人』 [たまには読書でも]
25日締め切りの仕事がやっと終わって、幸せ~!なゴールデンウィークが迎えられそうです。
とはいえ、特段予定もないので、カレンダー通りの出勤だし、5月にも一山仕事を抱えているわけなんだけど、とりあえずの一息入れてのんびりできそう。
読みたい本は、lucksunさんのブログにレビューが載る度に増えていくのですが、読書時間があまりないのが事実。通勤電車の中が唯一、本に充てられる時間なんだけど、幸か不幸か片道15分程度しか乗らないので、消化量はたかが知れいている。
そんな中で、あやうく駅を乗り過ごしそうになったのが、五十嵐貴久作 『交渉人』。
病院へ人質を取って立てこもった犯人と“交渉人”と呼ばれる警察官のやり取りを通じて、犯人を追い詰めていくのだけれど、最後に意外な事実が隠されている・・・!?という、警察小説。
交渉人やネゴシエーターと言えば、サミュエル・L・ジャクソンの映画を思い出すんだけど、この小説の中では、警察官と犯人の心理戦が丁寧に描かれていて興味深い。立てこもり犯と、ネゴシエーターのやり取りは、決して説明的にならず、とても自然。読み進むうちに、疑問に思うところも、最後に納得させられるので、“うまいなぁー!”と唸ってしまう(笑)。
特に、3章の「追跡」シーンは、本当に映画のショットが文章になっている感じがして、読み入ってしまうほどのスピード感。ここで、わたしはあやうく駅を乗り過ごしそうになりました(笑)。アブナイ、アブナイ。
最後に主人公がキッパリと言い放つところは大いに共感できて、スッキリ感が残る作品でした。
ただ、lucksunさんのレビューにもあったけれど、犯人の背景というか、動機にもう少しページを割いてもいいような気がしたかなぁ。
久しぶりに、スリル・スピード感あふれる面白い作品でした♪
小川洋子:『薬指の標本』 [たまには読書でも]
今年はもうちょっと活字中毒(?)ではないけれど、本を読みたいなぁと思っています。
気になる作家や本はいろいろリスト化されてるので、ちょっとずつ読破していければいいなぁ~。
飽きっぽい(?)性格なので、実は数冊の本を同時並行して読んだりしています(笑)。
今年最初に読み終えたのは、小川洋子の「薬指の標本」。
短編なので、あっという間でした。彼女の作品を読むのは初めてだけど、この本に入っている2本の短編は、どちらも不思議な雰囲気です。
物語は、独特の世界の中で淡々と進んでいくのが印象的です。普通だったら劇的なことも、背景の説明的なことも、全て同じ速度と温度で進んでいく感覚がしました。
彼女が文章中に使用している“ひっそり”という形容詞は、この本全体の印象を表現するのにも合っているような気がします。
去年の秋にフランス映画として映画化され、上映されたのですが、見る機会を逸してしまったので、早くDVDにならないかなぁ~と楽しみにしています。
どんな風に映像化されるのか、楽しみな作品です。
最近は、仕事でラオスの森林の資料(?)を読み漁り、樹木の学術用語に四苦八苦している毎日だったので、ちょっとだけ現実逃避できる1冊でした。














